ナースジュースを履いて

昨日から新たな職場にて、働かせてもらえることになった。

久しぶりのフルタイム勤務。

大雨の影響からか、しかし混むときは混む某医療機関にて、私はスタッフをしている。

ナースシューズを買いに行ったのが一昨日とは思えない。

換金してくれるというのに甘んじて、シルバーのキラキラのナースシューズを選んだ。

そもそもナースシューズというものをよくみたのは初めてで、たくさんの種類があることに、世界のワンダーを見る。

選択肢が多いっていいこと、自分のスタイルを追求できること。

 

とはいえ早起きは苦手。でもお守りがわりに自分で淹れたコーヒーは持っていく。昨日はホットで、今日はアイス。あと麦茶のボトルも持っていく。

 

制服と言われていたが正味白衣だった。ちょっと可愛い。大人っぽく見える。

そして私は受付に座ったり出たりしながら、働いている。実感としてはもう1ヶ月くらい働いた気持ちでいるが、まだ2日。

だって、すっごいたくさんのことを覚えた。

 

そのせいか、昼休みの時間のほとんどを睡眠に充てていて、残りの15分くらいでようやっと動き出しご飯を食べている。

共用の休憩スペースのすみで鞄を抱えて眠っている新人は明らかに変かもしれない。が、もう生きる術だ、眠れるときに寝ないと。ほんとに。

 

私は人生でいい職場に恵まれ続けていると思う。

働くとき、そばにいる人たちは皆それぞれに異なるワンダーを秘めていた。

それは今回も例外でなく。

まず第一声上司に言われたのは「失敗していいから」だった。度肝を抜かれた。

そして、スタッフさんたちは「急がないで」と言う。

今日は天気による頭痛を起こして途中薬を飲みにロッカーに戻りたいと伝えると、私の一つ上の先輩はいつでも休んでいいから、1時間とか寝てたりね、それに、前に働いていた人はひどい偏頭痛持ちで、ずっと頭が痛い痛いって言ってたよ、と教えてくれた。

職場環境の偉大さに、人生の充実の度合いの変化に、私は圧倒されている。

働く人たちが粛々と作っている柔らかで正確な秩序と、柔軟さに。

最近読んでいた小説に、体調が悪くなったら伝えられるということが、登場人物の体調を和らげる描写があった。

いろんな人がうちの施設に来る。

 

しかし新聞は溜まる溜まる、開いても情報を掴めない。昨日出た判決のことも。

 

今日出回った有名人が亡くなったニュースがあまりに悲しく、辛く、やるせなく、友人と電話して過ごした。

トランスヘイト、自分の道徳を人に押し付ける境界の甘さ、理想的な家族観、マイノリティに対して無知であるにもかかわらず持論を持つ反知性主義

今日で反知性主義を、身体でわかってしまった。

友人は言った、私だって、と。それは公のここに書くわけにはいかないけど。

私がやったのだと思う、私が加担したのだと思う、私が声をあげなかったから。私が。私が。私が。

 

なんで、あなたは今の職場で働き出したの?と友人をは聞いてくれた。私は、今自分の事業の投資のためにお金が必要なんだと説明すると、とんでもなくまっすぐな言葉で私を讃えてくれた。

超かっこいい、そんなふうに、自分の道をいくのね!と。

私はむしろ本業で思うように稼ぐことができていないこと、去年よりなんちゃらかんちゃらという非常にみみっちいことを思っていたので、とても清らかな気持ちになった。洗い流されたような。

 

新しい環境に入って慣れないことをやることに慣れたいと思ってる。

私が得ている教訓は、最初はできることを目標にすること、最初は心理的な負担が大きいから、軌道に乗るまでは甘えること。安心してから動くこと。

例えば、初日はお弁当をつくらなかった。今日はご飯だけ持って行った。そんなふうに、だんだんと。

そして、手放すこと。中途半端に本を読んだら読書体験へのイメージがわるくなるので、いっそしないこと。

意図的に肩の力を抜くこと。甘いものをたくさん食べて、自分をよしよしする。

 

マッチングアプリはアカウントごと消した。